時の流れを想う

前回更新したブログから約1年が経過します。
この1年、ブログを1度も更新せず、何をしていたのかとお思いの事でしょう。
1年というと365日であり、8760時間であり、525600分になります。
この時間を長いと思うか、短いと思うかは人それぞれだと思いますが、
ネットの世界でブログの更新が1年もなかったということはあまりいい印象を与えないでしょう。
しかしだからと言ってこの1年、私たちは何もしてなかったかというとそういうわけではありません。
毎日、目の前にいる人と、迫りくる時間と、時には容赦のない睡魔と闘いながら仕事をしていました。
そして気づけば更新する日が今日となってしまったことをお詫び致します。

さて、今日は1つお知らせしたいことがあります。
attikuから新しい商品が販売されました。
詳細は商品ページを見ていただければお分りいただけると思いますが、トートバッグになります。
このトートバッグに付いている漆のホックについて少しお話をしたいと思います。
新商品についているホックボタンには漆が塗られています。これ、実はすごいことなんです。
attikuの関連会社、浮田産業(株)の人間が、金属に漆を塗った商品を開発したいと思い立ったのが14年前。
当時、漆の知識なんて全く持ち合わせていない人間が福井まで足を運び、協力してくれる職人さんを探しました。
金属に漆を塗るためのプライマー(接着剤のようなもの)の開発をお願いし、
試行錯誤を続けた結果、理想としていたものが完成し展示会に並べることが出来ました。
そこから月日は流れ、2013年に浮田産業(株)が50周年を迎えるタイミングで
オリジナルのかばんを作ることになりました。
そこで漆のホックを付けたいと思い、職人さんに再度お願いしました。

漆塗りと一言で言っても、そのやり方にはいくつかの手法があります。
もともと漆は樹液で、無色透明なものです。この樹液に特殊な液体や顔料を混ぜて色を作り出します。
黒漆(漆黒)や赤漆などをよく目にする機会が多いと思います。
その樹液を全体の8%未満しか含んでいないものは漆塗装。
樹液が20%程度のものは漆塗り。よく耳にする漆塗りとは一般的にこのことです。
そして、樹液が80%を超えるものは本漆(ほんうるし)といわれます。
本来、樹液が浸み込むものが原則ですが、今回のホックはプライマーが金属と樹液をつなぎ合わせてくれています。

今回のattikuのミニトートには本漆のホックボタンが付いています。
このホックはとても小さいことに加え、機械では漆を塗ることが不可能なのでひとつひとつ手作業となります。
こちらの強い要望に応えてくれた職人さんの苦労があって仕上がったホックです。

こうして何年、何十年にも渡って人と、技術と想いのこもったトートバッグが出来上がりました。
ぜひ皆様にもこの商品をお手に取ってもらうことが出来たら幸いです。

ではまた、次回のブログでお会いしましょう。